ゆうまの家には、ひいおばあちゃんから受けついだ古い茶わんがあります。ふだんは戸だなの奥に大切にしまってあり、お正月にだけ出して使います。
ある日、町の公民館で、古い道具を専門家に見てもらう会が開かれました。ゆうまと父は、その茶わんを持って行ってみることにしました。
専門家の先生は、茶わんを手に取ってしばらくながめると、目を見開きました。「これは、とても古い時代の名人の作品です。同じものはほかに見たことがありません。和氏之璧と呼んでもよい宝物ですよ」
「かしのへき?」とゆうまが聞くと、先生は教えてくれました。「この世にまたとない、貴重な宝物のたとえです。それほど値打ちのあるものだということですね」
家に帰ると、ひいおばあちゃんの写真の前に茶わんを置いて、家族みんなで手を合わせました。母は「値打ちを知らずに、ずっと大事にしてきたのがよかったのね」と笑いました。
ゆうまは、この和氏之璧のような茶わんを、自分もいつか子どもに受けついでいきたいと思いました。そして、古い物の中には、思いがけない宝物がかくれていることもあるのだと知りました。