しょうたは、近所の将棋教室に通っています。教室には、町の大会で何度も優勝しているおじいさん先生がいました。
ある日、しょうたは先生と一局指してもらうことになりました。しょうたは自信満々で駒を進めましたが、気がつくと、自分の駒はどれも思うように動けなくなっていました。動かせば取られ、守れば攻められる。まるで先生の手のひらの上で遊ばれているようでした。
対局を見ていた教室の大人が、感心して言いました。「さすが先生だ。盤の上の駒を活殺自在に操っている」
対局のあと、しょうたは「かっさつじざいって何ですか」と聞きました。先生は教えてくれました。「生かすも殺すも思いのままであること、つまり自分の思いどおりに扱うことだよ。将棋では、駒を生かすも取るも自由にできる、という意味で使うんだ」
「どうしたら、そんなふうになれるんですか」とたずねると、先生はにっこり笑いました。「一つ一つの駒の役目をよく知ることだね。駒の力を知っていれば、どこに置けばいちばん働くかが分かるようになる」
その日から、しょうたは駒の動き方をノートにまとめ、毎日詰将棋を解くようになりました。いつか自分も、駒を活殺自在に動かせるようになりたいと思ったのです。