六年生のゆうとは、テレビで見た「月は毎年少しずつ地球から遠ざかっている」という話を、クラスで得意そうに話しました。友だちは「すごい!」と感心してくれました。
ところが、友だちの一人が聞きました。「どうして遠ざかるの?どのくらい遠ざかるの?」ゆうとは、何も答えられませんでした。テレビで聞いたことを、そのまま話しただけだったのです。
放課後、ゆうとは担任の先生に相談しました。先生は笑って言いました。「人から聞いたことを、よく理解しないまま人に伝えるだけの浅い学問を、口耳之学と言うんだ。耳から入ったことを、そのまま口から出すだけ、ということだね」
ゆうとは少しはずかしくなりましたが、先生は続けました。「でも、聞いたことに興味を持つのは大事な第一歩だよ。そこから自分で調べれば、口耳之学ではなくなる」
ゆうとは図書館で、月と地球についての本を何冊も読みました。そして、月が一年に数センチずつ遠ざかっていることや、その理由を、自分の言葉でノートにまとめました。
次の週、ゆうとはもう一度クラスで発表しました。今度は、友だちの質問にもきちんと答えることができました。ゆうとは、口耳之学で終わらせずに、自分で理解することのおもしろさを知ったのです。