昔々、中国の山深いところに、武陵という小さな村がありました。村人たちは、日々の生活を大切にし、穏やかに暮らしていました。ある日、一人の村人が川をさかのぼっていくと、桃の花が満開の美しい林にたどり着きました。そこはまるで夢の中のような場所で、甘い香りが漂っていました。
村人はその桃の林を抜けて、さらに進んでみることにしました。すると、目の前に大きな洞穴が現れました。好奇心に駆られた彼は、洞穴の中に入っていきました。すると、洞穴を抜けた先には、まるで別の世界が広がっていたのです。色とりどりの花が咲き乱れ、澄んだ水が流れ、小鳥のさえずりが聞こえてきました。
その場所には、外の世界のことを全く知らない人々が住んでいました。彼らは、秦の混乱を逃れてこの地に来たといいます。彼らは毎日、楽しそうに歌い、踊り、幸せそうに暮らしていました。村人は、この理想的な世界にすっかり魅了されてしまいました。まるで夢の中にいるような気持ちになり、心がとても穏やかになりました。
村人はその後、村に帰りながら思いました。この「武陵桃源」のような場所があれば、どんなに素晴らしいだろうと。彼は村の人々にもこの素敵な場所を伝えたいと思いましたが、同時にその場所が特別であることを忘れたくないとも思ったのです。それ以来、村人は時々その理想郷を思い出しながら、日々の生活を大切にするようになったのでした。