おほけなく うき世の民に おほふかな
わがたつ杣に 墨染の袖
( 前大僧正慈円:ぜんだいそうじょうじえん )

よみかた

おほ(お)けなく うきよのたみに おほふ(おう)かな わがたつそまに すみぞめのそで

歌の意味

身のほどもわきまえずに、この苦海のような世の中に生きる人々を、今まさに比叡山に入って修行を始めたばかりの私のこの黒い僧衣の袖で、どうか包み込んで救ってあげたいものだ。

詩の背景

戦乱や飢饉に苦しむ当時の人々の姿を目の当たりにし、比叡山で出家したばかりの身でありながら、自らの僧衣の袖で苦境にある人々を温かく包み込み救済したいという切なる祈りと強い決意を表現しています。

「前大僧正慈円:ぜんだいそうじょうじえん」は何をした人?

前大僧正慈円(1155年〜1225年)。

前関白藤原忠通76の子。

13歳で出家し、比叡山に入った。

歴史書『愚管抄』の作者。

彼は平安末期から鎌倉初期にかけての天台座主を務めた高僧であり、政争が渦巻く激動の時代にあって朝廷と武家の双方に深い影響力を持ちました。

優れた歌人としても知られ、新古今和歌集の時代を代表する歌聖の一人として数えられています。

歴史のうねりの中で仏教の慈悲による救済を求め続け、数々の名歌や貴重な歴史的著作を遺したその偉大な足跡は、日本の文化と精神史において今なお極めて重要な光を放ち続けています。

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