はるきは、算数があまり得意ではありません。テストの点数もいつも平均より下で、「ぼくは頭がよくないから」と自分で思っていました。
ある日、クラスで「学級園の野菜をカラスから守る方法」を話し合いました。ネットを張る、かかしを置くなど、いろいろな意見が出ましたが、どれもお金がかかったり、すぐに慣れられたりしそうでした。
はるきは少しためらってから手を挙げました。「あの、使わなくなったCDをつるすのはどうかな。おじいちゃんの畑でやってたら、カラスが来なくなったんだ」
みんなはなるほどと思い、さっそく家からCDを持ち寄りました。光がきらきら反射して、本当にカラスが来なくなりました。
はるきは家に帰って、母に話しました。「ぼくでも、たまにはいい考えが出せるんだね。愚者一得ってやつかな」母は笑いました。「愚かな人でも、たまにはよい考えを出すことがある、という意味ね。でも、はるきは自分のことを愚かだなんて思わなくていいのよ」
はるきは照れくさそうに笑いました。愚者一得と自分で言ってみたけれど、だれにでもよい考えを出せるときがあるのだと分かりました。それからは、話し合いで思いついたことを、前よりも言えるようになりました。