文芸部のりこは、秋の文化祭で、テーマを聞いてその場で詩を作る「即興の詩」を発表することになりました。お客さんからテーマを出してもらい、数分のうちに詩を作るのです。
当日、お客さんの一人が「雨上がりの校庭」というテーマを出しました。りこは目を閉じて、少しのあいだ考えました。そして、ゆっくりと口を開きました。
「水たまりに空がおちている ぼくらの足あとをまって」りこが短い詩を読み上げると、会場からは大きな拍手が起こりました。次々に出されるテーマにも、りこはすぐに詩を作って答えていきました。
発表が終わると、顧問の先生がりこに言いました。「りこさんには七歩之才があるね。すぐれた詩や文章を、すばやく作る才能のことだよ」
「でも、ふだんから、思いついた言葉をノートに書きためているんです」とりこが言うと、先生はうなずきました。「七歩之才と言われる人も、きっとそういう積み重ねがあるんだね」
りこは家に帰ってから、言葉のノートを開きました。そこには、毎日見つけた言葉がたくさん書いてありました。りこは、これからも言葉を集め続けて、もっとすてきな詩を作りたいと思いました。