こうへいのサッカー部は、夏の大会の前に、キャプテンのしゅんがけがをしてしまいました。チームの中心選手がいなくなり、部員たちはすっかり元気をなくしていました。
練習に来る部員も少しずつ減っていきました。そんな中、毎日だれよりも早く来て、グラウンドの準備をしていたのが、二年生のみつるでした。
みつるは、ふだんは目立たない選手でした。でも、チームが苦しいときにこそ、「みんなで声を出していこう」と仲間に呼びかけ、練習の内容も自分から考えるようになりました。
大会では、みつるがキャプテンの代わりにチームをまとめ、準決勝まで勝ち進みました。試合を見に来ていたしゅんは、松葉づえをつきながら、みつるの肩をたたきました。
大会のあと、顧問の先生が言いました。「疾風勁草という言葉がある。苦しいときや困難にあったとき、初めてその人の意志の強さや本当の値打ちが分かる、という意味だよ。今回のみつるのことだね」
みつるは照れくさそうに笑いました。こうへいは、ふだんは見えないみつるの強さが、チームの苦しいときに表れたのだと思いました。疾風勁草という言葉を知って、こうへいも、苦しいときこそ前を向ける人になりたいと思いました。