コウタは、家ではとてもにぎやかな男の子です。帰ってくるなり大きな声で一日の話をし、夕ごはんのときも、ずっとしゃべり続けています。
ある日曜日、コウタは家族といっしょに、お父さんの会社の人の家に招かれました。広いリビングに通されると、コウタはソファのはしにちょこんとすわりました。
お父さんの会社の人に「コウタくん、学校は楽しい?」と聞かれても、コウタは小さな声で「はい」と答えるだけでした。出されたジュースにも、なかなか手をつけません。
帰りの車の中で、お母さんが笑って言いました。「今日のコウタは、借りてきた猫みたいだったね。いつもはあんなににぎやかなのに」
コウタは少しはずかしそうに言いました。「知らない家だと、どうしていいかわからなくなるんだ」。お父さんは「はじめての場所だと、だれだってきんちょうするよ」とうなずきました。
家に着いたとたん、コウタはいつもの調子にもどり、今日食べたケーキがどんなにおいしかったかを話し始めました。妹のミクは「お兄ちゃん、家に帰ったら借りてきた猫じゃなくなったね」と笑いました。