世の中は 常にもがもな 渚こぐ
あまの小舟の 綱手かなしも
( 鎌倉右大臣:かまくらのうだいじん )

よみかた

よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのを(お)ぶねの つなでかなしも

歌の意味

この世の中はいつまでも変わることなく、今のままであってほしいものだ。

漁師が小舟の綱を引いて漕いでいく、あののどかな光景はなんと心にしみじみと感じられることよ。

詩の背景

激しい権力闘争に翻弄される動乱の世を生きる中、漁師が小舟を引くのどかな日常の風景に永遠の平和と変わらぬ平穏を切望する、若き将軍の哀切な心情が鮮やかに映し出されています。

「鎌倉右大臣:かまくらのうだいじん」は何をした人?

鎌倉右大臣(1192年〜1219年没)。

源実朝。

鎌倉幕府を開いた源頼朝の次男。

12歳で3代将軍となる。

彼は武家でありながら京都の文化や和歌に深くあこがれ、藤原定家らに師事して優れた歌才を発揮しました。

その繊細な感受性と卓越した叙情性から生み出された数々の和歌は、新古今和歌集の時代を彩る傑作として高く評価されています。

しかし、政治的謀略と悲劇的な運命に翻弄され、28歳という若さで非業の死を遂げたその生涯は、鎌倉初期の歴史において最も痛切なドラマとして今なお人々の心に深く刻まれています。

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