中学生のりなのお父さんは、ふだんはとてもまじめな人です。ところが、テレビに好きな女優さんが出てくると、様子が変わります。
ある日曜日の夜、ドラマを見ていたお父さんは、その女優さんが出てきたとたん、鼻の下を長くして画面に見入っていました。
りなとお母さんは、顔を見合わせて、くすくす笑いました。「お父さん、顔がゆるんでるよ」。りなが言うと、お父さんはあわててせきばらいをしました。
「いや、これは、演技がうまいなと思って見ていただけだよ」。お父さんの言いわけに、二人はますます笑いました。
するとお母さんが、古いアルバムを持ってきました。そこには、若いころのお母さんと、うれしそうに笑うお父さんが写っていました。
「お母さんと初めて会ったときも、こんな顔をしていたのよ」。お母さんが言うと、お父さんは真っ赤になって、また鼻の下を長くしたような顔で笑いました。
その夜、家族三人でアルバムをめくりながら、昔の話をたくさん聞きました。りなは、両親の仲がいいことが、なんだかうれしくなりました。