中学二年生のはるなは、休み時間に友だちと話しているとき、つい同じクラスのまどかのことを話題にしてしまいました。「まどかって、ちょっといばっているところがあるよね。」
その場にいた友だちも、なんとなくうなずきました。でも、話し終わったとたん、はるなは胸の中がもやもやするのを感じました。
放課後、はるなはまどかに声をかけられました。「はるな、明日の理科の実験、同じ班だよね。いっしょにがんばろう。」まどかは、いつものように明るく笑っていました。
はるなは、昼休みに言ったことを思い出して、まどかの顔をまともに見られませんでした。まどかは、何も知らずにやさしく話しかけてくれているのです。
家に帰って、はるなはそのことをお母さんに話しました。お母さんは、静かに言いました。「物言えば唇寒し秋の風、という言葉があるのよ。人の悪口を言ったあとは、秋の冷たい風がくちびるにふれるように、さびしく、いやな気持ちになるものなの。」
はるなは、その言葉が自分の気持ちにぴったりだと思いました。
次の日、はるなは昼休みにいっしょに話していた友だちに、「きのうは、まどかのことを悪く言ってごめん。わたし、まちがっていた」と伝えました。
それからはるなは、人のことを話すときは、相手がその場にいても言えることだけを話そうと決めました。