九月のある日、ゆめかはおばあちゃんの畑で、なすの収かくを手伝いました。むらさき色につやつやと光るなすが、たくさんなっていました。
「秋のなすは、夏のなすよりも身がしまって、とてもおいしいのよ。」おばあちゃんは、そう言いながら、なすをかごに入れていきました。
その夜、おばあちゃんは焼きなすを作ってくれました。しょうがとかつおぶしをのせて、しょうゆをたらすと、とろりとした身が口の中でとけるようでした。
「おいしい。」ゆめかが声をあげると、おばあちゃんはにこにこ笑って言いました。「秋茄子は嫁に食わすな、と昔から言うのよ。」
「えっ、どうしてお嫁さんに食べさせちゃいけないの。いじわるなの。」ゆめかがおどろいてたずねると、おばあちゃんは笑って首をふりました。
「それくらいおいしいから、もったいないという意味だと言う人もいるわ。でもね、秋のなすは体を冷やすから、お嫁さんの体を大事にして食べさせないのだ、という説もあるのよ。」
「じゃあ、やさしい意味かもしれないんだね。」ゆめかは、ほっとしました。
ゆめかは、焼きなすをもう一つ食べながら思いました。秋茄子は嫁に食わすなという言葉ひとつにも、いろいろな考え方があるのだと。言葉の意味を調べるのはおもしろいな、とゆめかは感じました。