世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
( 皇太后宮大夫俊成:こうたいごうぐうの大夫としなり )

よみかた

よのなかよ みちこそなけれ おもいひ(い)る やまのおくにも しかぞなくなる

歌の意味

この世の中には、苦しみや辛さから逃れられる道などどこにもないのだなあ。

世を儚んで深く山奥に入り込んだというのに、その分け入った山奥でさえも、物悲しく鹿が鳴いていることだよ。

詩の背景

世の中の無常や逃れられない苦悩から逃れるために山奥へ入ったにもかかわらず、そこにも変わらず響き渡る鹿の鳴き声を聞くことで、いよいよ深まる孤独感と救いのなさを切なく描き出しています。

「皇太后宮大夫俊成:こうたいごうぐうの大夫としなり」は何をした人?

皇太后宮大夫俊成(1114年〜1204年)。

本名は藤原俊成。

藤原定家の父。

『千載和歌集』の撰者。

63歳で出家した。

彼は平安末期から鎌倉初期にかけての歌壇を牽引した中心人物であり、新古今時代の先駆けとなる幽玄の美を確立しました。

優れた歌論を数多く残し、和歌の芸術性を高めることに心血を注いだその生涯は、後世の文学や文化に計り知れないほど大きな影響を与え、日本の歌道史における最も偉大な巨人の一人として今なお深く讃えられています。

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