嘆けとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな
( 西行法師:さいぎょうほうし )

よみかた

なげけとて つきやはものを おもは(わ)する かこちがほ(お)なる わがなみだかな

歌の意味

もの思いに沈めと月が私に仕向けるのだろうか。

いや、そうではない。本当は激しい恋の苦しみのせいなのだ。

それを月のせいであるかのように言い訳して、こぼれ落ちる私の涙だよ。

詩の背景

美しい月を眺めていると自然と涙がこぼれてくるのは月のせいではなく、秘めた恋の苦しみと耐えがたい切なさを何とかやり過ごそうとする複雑な心理を味わい深く表現しています。

「西行法師:さいぎょうほうし」は何をした人?

西行法師(1118年〜1190年)。

出家前の名前は佐藤義清。

北面の武士だったが23歳で出家。

歌集に『山家集』がある。

彼は俗世を離れて諸国を巡り歩き、自然の美しさや無常観を独自の感性で数多く詠み上げました。

その生き様と洗練された数々の和歌は、のちの新古今和歌集の時代を代表する歌人たちに絶大な影響を与え、日本文学史において比類なき存在感を示しました。

彼が残した風雅を極めた数々の作品は、時代を超えて人々の心を打ち続け、今なお高く称賛され続けています。

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