中学一年生のこうきは、クラスの学級委員を決める選挙に立候補しました。相手は、人気者のはやとです。
こうきは、どうしても勝ちたいと思いました。そして、「はやとは、前に宿題をわすれたことがある」と、こっそり友だちに話してまわろうと考えました。
その夜、こうきは家でそのことを口にしました。すると、お父さんが静かに言いました。「人を呪わば穴二つ、という言葉を知っているかい。人をおとしいれようとすると、自分もいつか同じように苦しむことになるんだよ。」
「どうして、ぼくまで。」こうきがたずねると、お父さんは続けました。「悪口を言ってまわる人を、みんなは信用しなくなる。はやとくんを悪く言えば、こうきの評判も下がってしまうんだ。」
こうきは、しばらく考えこみました。もし自分が悪口を言われたら、どんな気持ちになるでしょう。考えるだけで、胸が苦しくなりました。
次の日、こうきは悪口を言うのをやめて、自分がクラスでやりたいことを考えることにしました。「休み時間に、みんなで遊べる遊びの日を作りたい。」そう演説で話しました。
選挙の結果は、はやとの勝ちでした。でも、はやとはこうきのところに来て、「遊びの日の考え、いっしょにやろうよ」と言ってくれました。
こうきは、人を呪わば穴二つという言葉を思い出して、あのとき悪口を言わなくて本当によかったと思いました。