土曜日の午後、小学四年生のそうすけは、お母さんに声をかけました。「お母さん、買い物、ぼくが手伝ってあげるよ。」
お母さんはおどろきました。いつもは「めんどうくさい」と言って、ついてこないそうすけだったからです。「あら、めずらしいわね。じゃあ、いっしょに行きましょう。」
スーパーに着くと、そうすけは重い牛乳やお米を、すすんでカートに入れてくれました。お母さんは、そうすけもずいぶんたのもしくなったものだと、感心していました。
ところが、おかし売り場の前に来ると、そうすけは急に立ち止まりました。そして、新発売のチョコレートを手にとって言いました。「お母さん、手伝ったごほうびに、これ買ってもいい。」
お母さんは、思わずふき出してしまいました。「なるほどね。敵は本能寺にあり、というわけね。本当のねらいは、このチョコレートだったのね。」
「ばれちゃった。」そうすけは、頭をかきながら笑いました。
家に帰ってその話をすると、お父さんも大笑いしました。「お手伝いのふりをして、本当の目的は別のところにあったんだな。」
お母さんは、そうすけがちゃんと荷物を運んでくれたので、ごほうびのチョコレートを買ってあげていました。そうすけは、チョコレートを半分に分けて、お父さんとお母さんにも一かけらずつあげました。敵は本能寺にありの作戦は、家族みんなを笑顔にしたのでした。