小学四年生の春、あやねの親友のみゆが、遠くの町へ引っこしていきました。お別れの日、二人は「毎週手紙を書こうね」と約束しました。
はじめのうちは、あやねは毎週手紙を書きました。学校のことや、ペットの犬のことを、たくさん書きました。みゆからも、すぐに返事がとどきました。
でも、夏休みが近づくころには、あやねは新しい友だちと遊ぶのにいそがしくなりました。手紙を書くのは二週間に一回になり、やがて一か月に一回になりました。
ある日、あやねはつくえの引き出しから、みゆの手紙のたばを見つけました。最後の手紙は、もう二か月も前のものでした。そして、自分が返事を書いていなかったことに気づいたのです。
あやねはお母さんに話しました。お母さんは言いました。「去る者は日々に疎し、と言ってね。会えなくなった人のことは、毎日の中でだんだん忘れてしまいやすいの。だからこそ、大切な人とのつながりは、自分から守らないといけないのよ。」
あやねは、すぐに便せんを取り出しました。「返事がおそくなってごめんね」と書き始めると、話したいことが次々にうかんできました。
一週間後、みゆから返事がとどきました。「手紙、ずっと待っていたよ。夏休みに、そっちに遊びに行けることになったの。」
あやねは、手紙をだきしめました。去る者は日々に疎しにならないように、これからはもっと手紙を書こうと決めました。