夏休み、だいちはおじいちゃんの家で、昔の話を聞いていました。おじいちゃんは若いころ、山登りが大好きだったそうです。
「あるとき、冬の山で大雪にあったんだ。」おじいちゃんは、遠くを見るような目で話しはじめました。
「天気予報では晴れのはずだったのに、急に雪がふりだして、まわりがまっ白になった。道がわからなくなって、とうとう動けなくなってしまったんだよ。」
だいちは、どきどきしながら聞いていました。「それで、どうなったの。」
「岩のかげに雪のかべを作って、その中で風をしのいだ。持っていたチョコレートを少しずつ食べながら、ひと晩じっと待ったんだ。次の朝、救助隊の人たちが見つけてくれてね。九死に一生を得た、とはあのことだよ。」
おじいちゃんは、たなの上の古い写真を見せてくれました。救助隊の人たちといっしょに、やせたおじいちゃんが笑っている写真でした。
「それからは、山に登る前に必ず天気をよく調べて、少しでもあやしいときは行かないことにしたんだ。そして、家族にどの山に行くかを必ず伝えるようにした。」
だいちは、おじいちゃんが今こうして元気でいてくれることが、とてもありがたく思えました。九死に一生を得たおじいちゃんの話を、だいちはずっと忘れないでいようと思いました。