小学六年生のしんごの班は、社会科の授業で、地域の歴史について調べて発表することになりました。
班のなかでいちばん熱心だったのは、ゆいでした。ゆいは図書館に何度も通い、古い地図や写真を集めて、ノートにまとめていました。
発表の前の日、しんごはゆいのノートを見せてもらいました。とてもよくまとまっていたので、しんごは「これを自分が調べたことにして発表しよう」と思いつきました。
家でそのことを話すと、お兄ちゃんがあきれた顔をしました。「それは、人の褌で相撲を取るってやつだぞ。ゆいちゃんががんばって調べたのに、自分の手がらにするなんて、ずるいよ。」
しんごは、言い返せませんでした。もし自分ががんばって調べたことを、だれかに横取りされたら、きっとくやしいはずです。
次の日、しんごは発表の前に、班のみんなに言いました。「ゆいの調べてくれたことが、いちばん大事なところだと思う。だから、ゆいに発表してほしい。ぼくは、写真を見せる係をするよ。」
ゆいは、うれしそうに笑ってうなずきました。発表は大成功で、先生からも「班のみんなで協力できていましたね」とほめられました。
しんごは、人の褌で相撲を取るようなことをしなくてよかったと、ほっとしました。