中学二年生のみのりは、市の合唱コンクールに向けて、クラスのみんなと練習を重ねていました。
ところが、本番の一週間前、みのりはかぜをひいて声が出なくなってしまいました。ピアノのばんそうをする予定だったのに、熱が出て学校も休むことになりました。
「どうして、こんな大事なときに。」みのりはふとんの中でなみだをこぼしました。
そのとき、おばあちゃんがおかゆを持ってきてくれました。「禍福は糾える縄の如し、と言ってね。悪いことのあとには、よいことがやってくるものよ。わらの縄みたいに、いいことと悪いことは、かわるがわるやってくるの。」
三日後、みのりの熱は下がりました。休んでいるあいだに、ベッドの上で楽ふをじっくり読みこんでいたので、曲の流れが前よりよくわかるようになっていました。
学校にもどると、みのりのピアノは見ちがえるほど表情ゆたかになっていました。友だちも「前よりずっといいね」とおどろきました。
コンクールの日、クラスの合唱は見事に金賞に選ばれました。表しょう式のあと、みのりはおばあちゃんに電話をかけました。
「おばあちゃん、金賞だったよ。」「よかったね。禍福は糾える縄の如しでしょう。」みのりは、つらいことがあっても、もうむやみに落ちこまないでいようと思いました。