小学五年生のゆうせいは、ショッピングモールのガチャガチャのコーナーで、大好きなアニメのキーホルダーを見つけました。一回三百円です。ゆうせいは、ほしいキャラクターが出ることを願って、一回まわしました。
出てきたのは、ほしいものとはちがうキャラクターでした。「もう一回。」ゆうせいは、またお金を入れました。でも、また別のキャラクターでした。
くやしくなったゆうせいは、三回目のお金を入れようとしました。そのとき、いっしょに来ていたお父さんが、ゆうせいの手をそっとおさえました。
「ゆうせい、ちょっと待って。今、取り返したい気持ちでまわそうとしているだろう。でも、それは盗人に追い銭になってしまうかもしれないよ。」
「盗人に追い銭って、なに。」ゆうせいがたずねると、お父さんは説明してくれました。「物をとられたうえに、お金までわたしてしまうこと。つまり、損をしたうえに、さらに損を重ねることだよ。」
ゆうせいは、手の中の三百円を見つめました。もしまたちがうものが出たら、もっとくやしくなるだけです。
ゆうせいは、ガチャガチャをやめることにしました。家に帰ってから、クラスの友だちに、ダブったキャラクターを交かんしようと持ちかけてみました。すると、友だちのひとりがほしいキャラクターを持っていて、こころよく交かんしてくれました。
ゆうせいは、盗人に追い銭にならなくてよかったと、お父さんに感謝しました。