夏休み、ショウタは家族といっしょに、近くの山に登ることになりました。頂上までは、大人の足で二時間ほどかかる道のりです。
登り始めは元気いっぱいでしたが、三十分ほどで急な坂道になりました。足が重くなり、息も苦しくなってきます。ショウタは立ち止まって、「もうつかれた。帰りたい」と言いました。
お父さんは笑って言いました。「まだ三十分だよ。もう音を上げるのか?」。小学二年生の妹のミクは、ショウタの前をとことこと歩いています。ショウタは少しはずかしくなりました。
そこで家族は、木かげで五分だけ休けいすることにしました。水を飲んで、おにぎりを一つ食べると、少し力がもどってきました。お母さんは「あと少しで見晴らしのいい場所に出るよ」と教えてくれました。
ショウタはもう一度歩き出しました。坂は相変わらずきつかったけれど、「次の曲がり角まで」と小さな目標を決めて進むと、思ったより足が前に出ました。
とうとう頂上に着くと、遠くの町や海まで見わたせました。「途中で音を上げなくてよかった」とショウタが言うと、ミクが「お兄ちゃん、さっき帰りたいって言ってたよ」と笑いました。